１９６８年ジョンＦケネディが暗殺されたとき、ひどく反発を覚えたマルコムＸは「わが身にはね返る」と言い放った。
今年の春に起きたアニメ、MADの削除祭りを同じ言葉で見ることはできても、
結局はごくありきたりの「オタクのしわざ」で終わる。
社会の「のけ者」だったオタク少年たちが動画共有サイトという居場所を得て、
商業、同人問わずオタクコンテンツの大規模で堂々とした海賊行為を始めたとき、
これほどの人々が得をすることになるとは誰も想像しなかった。
先進的ネットユーザーを気取る海賊たちにとりそれはGNU以来最大のメディア・サーカスで曲芸を演じるチャンスとなり、
アニメ製作側には視聴者がぞろぞろと群をなして興味を失っていく絶望的な量産萌えアニメの行列から逃げ出すいい口実となった。
法と秩序タイプの人間がネットを軍のキャンプにするという長年の計画の根拠を見いだす一方で、
リベラルな人々はネット規制の要求を突きつけるのに有効な序幕を見いだす。
三角形に分かつ重要性を即座に了解する文科省は今より厳しい著作権法案と先進的なネットコンテンツに関する著作権議論の両方を呼びかける。
そうして自由なネット環境に責任があることで全員が大きく首を縦に振った。
この長たらしい話から抜け落ちているのはどんなふうに動画共有サイトが
無法者たちの無料アニメ放送局となったかを理解しようとする気持ちだ。
日本は世界最大のオタク文化発信地で、無料で大量のアニメがテレビで垂れ流されるまさに聖地だ。
裕福で、満ち足りていて、一見善良そうな環境に育つ聡明なオタクたちが、
どうしてオタクコンテンツの発展を妨害する海賊行為に走ったのだろうか？
著作権厨のねらーどもはニュースを伝えるばかりか社会学者にでもなった気でオタクを「内弁慶の無法者」として描き、
ヒキコモリで犯罪者予備軍に属していたと報じた。(当然、何の根拠もない言いがかりだ)
自宅警備員でアニメ研究を兼任する某氏によると、オタクたちは常に迫害されてきたと言う。
それも味方であるはずのオタク業界にだ。
動画共有サイトで違法とされている動画の多くはＴＶアニメである。
無料で全ての人間に垂れ流されると思われていたアニメは、実際には都市部と地方では大きな格差があった。
地方に行けば1週間遅れでの放送などはざらであり、また番組によっては全く放送されない地域もあるという。
そのようなアニメの地方格差を是正し、アニメを愛するオタクたちは法の下に平等であると知らしめたかったのだと、
企業側からの苦情の電話で親にネットを禁止された14歳ニコ厨は涙ながらに語る。
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